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小村和久(金沢大) [2005年3月23日プレゼン資料]

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 雨水中の短寿命宇宙線誘導核種測定と水文学研究への応用

小村和久(金沢大学自然計測応用研究センター)

雨水中の短寿命宇宙線誘導核種測定と水文学研究への応用

宇宙線誘導放射性核種:大気上空で高エネルギーの宇宙線と大気成分の酸素、窒素、アルゴンなどとの核反応によって生成・成層圏3分の2、対流圏で3分の1が生成(Lalの計算)・地磁気緯度に依存(高緯度地域で生成が多い)・宇宙線の強度に依存:太陽活動により生成量が変動・雨水によるRainout, Washout効果で地表に落下

核反応の地磁気緯度依存:核反応率・安定同位体からの質量差・生成率

宇宙線の海抜高度依存性:宇宙線の成分によるが、一般的に・・・:中性子やミューオン強度は約150−200グラム/平方センチ(1気圧の大気1.5kmでe=2.8倍)・10〜12kmの高度(飛行高度)で地上より約2桁高い・富士山山頂では地上より宇宙線強度が1桁高い

気圧・粒子数の高度依存性

宇宙線誘導核種、Nuclides,Half-life,Decay,Detector,Production,Measure,Discovered in,Cl-34,Ar-37,Cl-38,Cl-39,Si-31,S-38,Na-24,Mg-28,P-32,P-33,Be-7,S-35,Na-22,H-3,Ar-39,C-14,Al-36,Al-26,Be-10,Ge,X,LSC,gas counter,LSC/MS,LSC/AMS,Ge/AMS

濃度が非常に低い短寿命宇宙線誘導核種を検出するために:濃度が非常に低いので、多量の雨水を短時間で採取・短時間の化学分離と濃縮処理・極低バックグラウンド放射能検出器による測定・1950〜60年代に雨水で発見されたがトレーサーとして応用されていない

大気の場合:ハイボリュームエアサンプラーのよる大気浮遊塵採取・Na-22(半減期2.6年)濃度では海面高度で約3000立方mの大気の濾過で検出可能・これまでの大気浮遊塵の測定で、富士山山頂ではNa-22,Be-7の濃度が高いことを確認・超ハイボリュームエアサンプラーの使用で、富士山頂で大気中のNa-24(半減期15時間)の検出の可能性がある

雨水の場合:30リットルの雨を短時間に採取・方法・屋上の一部(27平方m)に降った雨を雨樋を利用して採取(2mm→54リットル)・通常の雨の場合、20分以内に必要量を集めることが可能・富士山では・・・半減期15時間のNa-24、21時間のMg-28を対象に測定

迅速化学分離・濃縮処理と迅速測定:原子力発電所の廃水処理に利用されている陰・陽イオン交換樹脂の利用・約20gの樹脂を用い30分の化学処理で雨水中の放射性核種の定量的濃縮に成功・容積を1000〜2000分の1に・約25分で尾小屋地下測定室へ運搬・最短1時間半で測定開始

宇宙線誘導核種から放出されるγ線

検出されるスペクトル

2004.10.5 の雨試料のγ線スペクトル

Na-24, Mg-28 (Al-28), Cl-38, Cl-39の検出に成功

Be-7に対する原子数の比

Atom ration of Mg-28/Na-24

雨水中の短寿命宇宙線誘導核種の測定から得られる情報***数台のGe検出器の使用で例えば 10~30分間隔で雨水を採取し核種濃度および同位体比の経時変化(放射能の回復***大気浮遊塵と雨水の同時観測***雨滴の生成高度、滞留時間***大気の混合・擾乱等の情報を得る***大気上空での宇宙線誘導核種の生成量(同位体比)***雨水による地表への輸送(Scavenging)情報

富士山では***雨水中の短寿命宇宙線誘導核種の測定***大気中のNa-24検出実験***大気中22Na と137Csの観測***数時間間隔で大気中Be-7,  Pb-210, Pb-212, Po-210の観測(辰口、獅子吼高原(640m)と同時観測***加速器質量分析装置による 10Be and 36Cl (26Al)の観測***放射化法による中性子観測
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